中小企業が大きくなってくると、組織的に仕事をする必要に迫られます。規模が小さなうちは、社長一人が何から何までできるでしょうし、仕事が人につく、いわゆる「属人的」な仕事でも会社は回ります。しかしながら、規模が大きくなってくると(おおよそ30名以上)、組織とそのルールを整え、組織運営に移行していかなければ、会社が上手く回らなくなります。
組織的に運営するとは、必要な「機能」を整え、その機能に基づいて「組織」をつくり、組織に「人」を当てはめることです。中小企業では、人に仕事がつくことが多々ありますが、組織的に運営するのであれば、組織ごとに役割と責任を持たせ、その組織に属した人が決められた役割を遂行しなければなりません。完全に組織に仕事を紐づけられる訳ではありませんが、いつまでも「属人的」な仕事を続けることも、会社の成長、発展を阻害する要因となってしまいます。
属人的な仕事については、以下のような問題が生じやすいので注意が必要です。私は、「この仕事はこの人が長くやっていて、本人がその仕事を離したがらない」という状況を「ヌシ化」と呼んでいますが、「ヌシ化」は百害あって一利なしですので、気をつけてください。
・担当者がいなければ、仕事が回らくなる(担当者が退職したが、誰もその仕事ができない・・・)
・担当者の能力に制約される(別の人なら、もっと良いやり方、効率的なやり方ができるのに・・・)
・ブラックボックスになり、不正の温床になりやすい(経理担当者が一人しかおらず、会社のお金を横領していた・・・)
また、中小事業では、「この案件は誰の承認をもらえばよいのか」という、決裁権限が曖昧なままという状態がよくあります。トップである社長の承認をもらえばよいのでしょうが、全ての案件を社長承認では、社長の首も回らなくなってしまいますし、何よりも、社員が仕事の中で迷い、混乱することが問題です。よって、早いうちに決裁権限を明確にしたほうがよいです。
そこで、組織で仕事をするために、最低限必要な3大規程(いわゆる、ルール)を説明したいと思います。中小企業に規程がないのは日常茶飯事ですが、きちんとした規程がなくとも、ルール化しておいたほうが、社内の仕事が混乱なく進みます。上場を目指すことになれば、否応なく、規程を整備しなければなりませんので、頭に入れておくとよいでしょう。私が上場企業の管理本部長をしていた時に、規程がほぼ使われておらず、3大規程をすべて作成し直した経験がありますが、規程は作成した後でも、状況に応じて見直すことも必要です。
① 業務分掌規程
各組織の役割を定め、組織の責任を明確にします。組織の役割と責任が明確になるので、案件の主担当部署のなすりつけ合いを防ぐことにもつながります。
② 決裁権限規程
案件ごとの承認ルートと最終決裁権者を定めます。この稟議書は誰に回して、誰が最終決裁するのかが一目瞭然となります。
③ 稟議規程
案件の申請ルールを定めます。案件の承認プロセスを記録に残す習慣は、健全な意思決定、ひいては、健全な企業経営の実現に直結します。
その他、会社に必要な(あったほうがよい)規程を以下に記します。特にお金に関わるルールは、社員が非常に気にしますので、明確にしたほうがよいです。
・出張規程
・旅費交通費規程
・慶弔見舞金規程
・給与規程
・賞与規程
・退職金規程
・育児・介護休業規程
その他、取締役会規程、役員規程、内部監査規程、組織規程、文書管理規程、経理規程、個人情報保護規程などありますので、必要に応じて整備してください。
規程さえあれば組織的に運営できるとは限りませんが、組織的な運営のために、規程を整備して、その規程を運用することも大切であるということを理解して頂きたいと思います。(執筆:現場経営の達人)